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自叙伝の作り方完全ガイド|18の工程で分かる制作の現実と成功のコツ

自分史

2025.11.23

「父の80歳の誕生日に、人生の記録を形にしてあげたい」——そう思ったのは去年の秋でした。けれど、いざ始めようとすると、何から手をつければいいのか分からなくなったんです。

自叙伝づくり。一見シンプルに思えますが、実際に取り組むと想像以上に複雑な作業です。この記事では、プロの制作現場で実際に行われている18の工程を、順を追ってご紹介します。読み終える頃には、自分で作るべきか、プロに任せるべきか、明確な判断ができるはずです。

自叙伝制作の全体像を掴む

自叙伝は「書く」だけでは完成しません。企画から印刷まで、大きく分けて4つのフェーズがあります。

フェーズ1:企画・設計(工程1〜3)

何をどう伝えるか、全体の骨格を決める段階です。

フェーズ2:素材収集・整理(工程4〜6)

記憶を掘り起こし、写真や資料を集めます。

フェーズ3:制作・デザイン(工程7〜15)

文章を練り、レイアウトを整え、形にしていく最も時間がかかる部分。

フェーズ4:仕上げ・印刷(工程16〜18)

最終チェックと印刷データの準備です。

それでは、各工程を詳しく見ていきましょう。

【フェーズ1】企画・設計で土台を作る

工程1:目的と構成の明確化

「誰のために、何を残すのか」——ここがブレると、後で必ず迷います。

たとえば、お孫さんに読んでもらいたいなら、難しい業界用語は避けるべきでしょう。一方、同窓会で配布するなら、学生時代のエピソードを中心に構成したほうがいい。目的によって、書く内容も文体も変わってくるんです。

よくある構成パターンは3つです。

  • 時系列型:誕生から現在まで、年代順に語る
  • テーマ別型:仕事、家族、趣味など、テーマごとに章立て
  • ハイライト型:人生の転機となった出来事を中心に構成

初めての方には時系列型をおすすめします。記憶を辿りやすく、読み手も理解しやすいからです。

工程2:ページ数とページ割の計算

「何ページくらいになるのか」を最初に決めておくと、後が楽になります。

一般的な自叙伝は50〜150ページ。仮に100ページで作るなら、こんな配分が考えられます。

  • 幼少期〜学生時代:20ページ
  • 社会人時代・キャリア:40ページ
  • 家族との思い出:25ページ
  • 趣味・地域活動:10ページ
  • 巻末資料・家系図:5ページ

文字数で計算すると(1ページ400字換算→100ページ×400字=40,000字)、原稿用紙100枚分です。けっこうなボリュームでしょう?

私が実際に制作をサポートしたある方は、「3ヶ月あれば書けるだろう」と始めましたが、結局1年かかりました。

工程3:デザイン方向性の検討

全体のイメージを決めます。上品なクラシック調か、温かみのあるナチュラル調か。

ここで決めるべきことは多岐にわたります。

  • 表紙のデザイン(写真を使う?イラスト?)
  • 本文のフォント(明朝体か、ゴシック体か)
  • 写真の配置スタイル(フルページか、文中に小さく入れるか)
  • 色使い(モノクロか、一部カラーか、全ページカラーか)

ここは結構プロと素人の差が出ます。

デザインは工夫しだすといくらでもこだわれます。
自叙伝の顔となる表紙や裏表紙のデザインが重要ですが、それ以外にも

  • 本文のタイトルのフォント そのほかちょっとした装飾
  • 目次・経歴・家系図ページのデザイン
  • 最期の一言ページのデザイン
  • 特殊なページ(旅行の写真集 マップなど)のデザイン

などデザインをどうするかで印象は変わってきます。
加えて、全体的な統一感も考えなければいけません。

デザインセンスに自信がない方は、プロに任せると安心です。

【フェーズ2】記憶と資料を掘り起こす

工程4:年譜と家系図の作成

さて、いよいよ具体的な作業です。まずは年譜を作りましょう。

年譜とは、人生の出来事を年代順に並べた一覧表のこと。これがあると、後で文章を書くときの地図になります。

作り方の例:

  • Excelやスプレッドシートを用意
  • 左列に西暦、右列に出来事を記入
  • 「1950年 東京都世田谷区で誕生」のように簡潔に

家系図も同時に作っておくと、親族関係が整理できます。「曾祖父の名前、なんだっけ?」と後で慌てなくて済むんです。

工程5:年譜に沿った記憶の記録

年譜ができたら、それぞれの出来事を肉付けしていきます。

たとえば「1975年 商社に入社」という項目なら、こんなことを思い出して書き足します。

  • 入社試験のエピソード
  • 初任地はどこだったか
  • 最初の上司の印象
  • 失敗談や成功体験

ここでのコツ:完璧を求めないこと。

断片的なメモでも構いません。「あの時、確か部長が怒ってたな」くらいでいいんです。後で整理できますから。

工程6:内容の精査と整理

集めた記憶を見直します。とはいえ、書いた内容すべてが本に入るわけではありません。

削除する判断基準は3つです。

  • 本筋と関係ない話
  • 他人のプライバシーに関わる内容
  • 繰り返しや重複

実のところ、この「削る」作業が一番難しい。自分の人生だから、どれも大切に思えてしまうんですよね。

【フェーズ3】形にしていく長い道のり

工程7:不要部分のカット

前の工程で大まかに整理しましたが、ここでさらに厳しく削ります。

プロの編集者は「3割カット」を基本にします。100ページ分書いたら、70ページに圧縮するイメージです。そうすると、本当に伝えたいことが際立つんです。

削るのがつらいなら、別のファイルに「保管用」として残しておくといいでしょう。

工程8・9:ページデザインと写真収集

さあ、ビジュアル要素の準備です。

各章の扉ページ、本文ページ、写真ページ。それぞれにデザインが必要になります。素人が一から作ると、統一感を出すのが至難の業です。

写真は、できるだけ高画質のものを探してください。古いアルバムから引っ張り出した写真は、スキャンして使います。でも、古い写真って色褪せていたり、折れ目があったりしませんか?

工程10:掲載写真の選定と加工

集めた写真の中から、実際に使うものを選びます。

選定基準はこちら。

  • その時代を象徴する写真か
  • 人物の表情がはっきり写っているか
  • 文章と関連性があるか

選んだ写真は加工が必要な場合があります。色補正、トリミング、シミやキズの修復。専門ソフトがないと、満足いく仕上がりにならないでしょう。

工程11:他の人のコメントを掲載する

必須ではありませんが、職場の仲の良かった人や、親族など、自分自身に対するコメントを求める場合は
そのインタビューや編集作業が必要となります。

他人のコメントを求めると第三者の意見が入り、自叙伝がより豊かな内容になりますが

  • 人によってコメントが長すぎたり短すぎたりする
  • この人に聞くならこの人にも聞かなければ気まずくなる
  • 紙面でコメントをいただいたが、修正が結構必要な場合

など手間や神経を使うことが増える可能性があります。

工程12:デザインの詰め作業

レイアウトソフト(InDesignなど)を使って、文章と写真を配置していきます。

  • 余白のバランス
  • 行間の調整
  • フォントサイズの統一
  • ノンブル(ページ番号)の位置

細かい作業の連続です。ルールの設定や変更はかなり大変。1ページ作るのに、慣れていても相当な時間がかかります。

工程13:全体の初稿完成

ようやく、ざっと全ページが揃いました。

でも、ここで「完成だ!」と思ってはいけません。これはあくまで「初稿」。ここからが本当の勝負です。

工程14:校閲作業

誤字脱字、事実誤認、表現の不自然さをチェックします。また、日本語の文法ルールはかなりややこしく、専門書を見ながら修正していくとかなり大変な手間になります。

自分で書いた文章は、自分では間違いに気づきにくいもの。可能なら、第三者に読んでもらうべきです。でも、親しい人に頼むのも気が引けるし、内容によってはプライバシーの問題もある……。

また文法的に間違いではないが

  • 角が立つ恐れがある表現
  • 偉そうに感じてしまう表現
  • 読みにくい

などのチェックも必要です。

工程15:文章ルールの統一

細かいけれど、とても大切な作業です。

  • 数字は全角か半角か
  • 「です・ます」調で統一されているか
  • 年号は西暦か和暦か
  • 人名の表記は一貫しているか

紙面全体の構成ルールもあります。

  • 1ページ目をどこにするか
  • 目次ページにページ番号は記載するか など

たとえば、前半で「お父さん」と書いていたのに、後半で「父」になっている。こんな不統一があると、読みにくい本になってしまいます。

100ページ分をチェックするとなると、かなり大変です。

【フェーズ4】完成への最終段階

工程16:第三者のコメント収集

家族や友人に読んでもらい、感想をもらいます。

「この部分、もっと詳しく知りたい」「ここは省いてもいいかも」といった率直な意見が、本の質を上げてくれるんです。

とはいえ、意見を聞きすぎて収拾がつかなくなることも。2〜3人に絞るのが賢明でしょう。

工程17:まとめと目次の作成

本の最後に、人生を振り返った「あとがき」や「まとめ」を書きます。ここに、あなたの想いを凝縮させてください。

目次も忘れずに。章タイトルとページ数を正確に記載します。読者が読みたい部分をすぐ見つけられるよう、工夫が必要です。

工程18:印刷データの準備と発注

最後の仕上げです。印刷会社に入稿できる形式(PDF入稿が一般的)にデータを変換します。

ここで注意すべきは、印刷会社ごとに入稿規定が違うこと。

  • 塗り足しは何mm必要か
  • カラーモードはCMYKか
  • フォントは埋め込むべきか
  • 背幅の処理

専門用語だらけで、初めての方は混乱するはずです。間違った設定で入稿すると、印刷し直しになって余計な費用がかかります。

自分で作る?プロに任せる?判断のポイント

ここまで読んで、どう感じましたか?

「思ったより大変そう」——そう感じた方が多いのではないでしょうか。実際、すべてを自分でやろうとすると、最低でも半年から1年はかかります。

自分で作るのに向いている方:

  • 時間に余裕がある
  • デザインソフトの経験がある
  • 完璧を求めず、手作り感を楽しめる
  • 予算を最小限に抑えたい

プロに任せたほうがいい方:

  • 高品質な仕上がりを求める
  • 短時間で完成させたい
  • デザインやレイアウトに自信がない
  • 写真の加工技術がない
  • 複数部数を配布予定

まとめ:あなたの人生を、最高の形で

自叙伝づくりの18工程、お疲れさまでした。

簡単にまとめましょう。

  • 企画段階で目的と構成を明確にする
  • 年譜と家系図で記憶を整理
  • 文章を書き、削り、磨く
  • 写真とデザインで視覚的に整える
  • 校閲と統一で品質を高める
  • 印刷データ化で形にする

全体で見ると、必要な時間はページ数が多ければ数百時間かかることも。専門スキルも多岐にわたります。

あなたの、あるいはご両親の大切な人生の記録。妥協せず、最高の形で残したいと思いませんか?

もし「自分だけでは難しいかも」と感じたら、それは賢明な判断です。プロの手を借りることで、時間も労力も、そして仕上がりの質も、すべてが変わります。

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